久しぶりに(我が子が生まれた7・11以来、約3ヶ月ぶり)、この日手紙を自動的に「ツイートのまとめ」で更新するのではなくて、わざわざログインして書くという、ぼくの触手を動かせたのは、長嶋有『いろんな気持ちが本当の気持ち (ちくま文庫)』を読んだから。
仕事帰りの地下鉄のなかで読み終え、ふつふつと興奮し、携帯(IS03)のメモでとりあえずの感想を書いた。そして、「ブクログ」の「レビュー」*1に載せたのが↓。
なんなのだろう、この感触。
長嶋有のエッセイは「ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ (ちくま文庫)」以来*2。
彼の書くエッセイは、家のなかに置いてある箪笥と壁の間にいる小さな虫からの視点、という感じ。
最近、お笑いでもなんでも、おもしろいとか、興味深い“ネタ”は、微細なことがら(日頃誰もが感じていながらも、なかなかことばにするまでに至らない思いや出来事)をどう「調理」するか、という技、あるいは視点の角度の良し悪し、センスの有る無し、が判断基準のように思うけれど(ぼくはその姿勢を支持しながらも、さみしい気がする。「やすきよ」的お笑いに憧れる)、長嶋有の“ネタ”も、その枠に入りながらも、大きく逸脱している。
つまり、小手先のようで、小手先でない。
ぼくは、この作品をすべて、朝夕の通勤電車(地下鉄)の車内で読んだ。とても心地よかった。吹き出しそうにもなった。
ちょっとセンチメンタルに行きかけると、本を閉じたりもしながら。そーゆーの、求めてなかったのに、いきなりだったから。
どれも好きなエッセイだけど、「1(章?)」は、原田宗典を彷彿とさせ、懐かしかったし(「片思ってしまう」)、「黒田硫黄の擬音と女」、「うちたそう」が好き。
長嶋有は、Wordとかソフト使った文書ではなく、テキストファイル、「.txt」的だと思う。
この感想も、携帯のテキストファイルで書きました。
この感想が、とくに気に入らないわけではない(気に入らないといえば、ほんとうに気に入らないけど)。
ただ、少し、ここで、なにか、もう少し書き足せる、書き足したい、というようなことを思いながら、駅から自宅までの道を歩いた。
でも、いま書き足しておきたいのは、ぼくが「傍点」(文字の強調を行うときに、文字の横、または上下に付ける店)を初めて意識して見た(「読んだ」のではなく)のは、やっぱり村上春樹だったな、ということぐらい。これは、本書のなかの「うちたそう」という題名のテーマが「傍点」なのだけど。
そういや、ネットでの文字入力で、タグを書けば「傍点」付いたりしないのかな。太字とか、斜めったりとかはできるのに。
明日からは、『安全な妄想』が車内の友。
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