入院・治療に際して‐3

 前に、母から「再発した」と連絡をもらったときは「骨髄」と聞いていたので、白血病(血液のがん)を予想し、これはもう覚悟しとかなければ、と思っていたけど、実際には、再発したのは「骨髄」ではなく「骨盤」内の腹膜だった。これで、ほんの少しだけぼくは安心した。
 でも、以上のようなことを医師から聞かされると、正直、落ち込んだ。横に座っていた母はもっと落ち込んでいただろうと思う。でも、母の様子を伺う余裕すら、ぼくにもなかった。
 そして、さらに医師は「この治療でも、今までの統計からすると、有効に薬が効いたという症例は20%です」と言った。
 明らかに、T医師は、その発言の主語を濁した感じがした。いったいなにが「20%」なのかよくわからない。
 この治療をして、半年生存した人が「20%」なのか、1年生存した人が「20%」なのか、5年生存した人が「20%」なのか。

 その後、ぼくは、T医師と看護師さんに、ともかく言ったのは、
「ともかく何でもいいですから、1日1度は声をかけてあげてください。そして、雑談でも何でもいいですから、母の話に耳を傾けてあげてください。母は、ときにめちゃくちゃな要望を言うと思いますが、それも可能な限り叶えてあげてください。
 それから、先生もお忙しいこととは思いますが、ぼくとも、少なくとも月に1度は話をしてください。母の容態に変わりがなくても、『変わりありません』、それだけでいいです。
 あと、もうひとつは、母が望んだときには『セカンドオピニオン』について、協力してください。ぼくも母もT先生にすべてをお任せしようと思っているんですけど、何もわからないので、他の医者の意見を聞いてみたいと思うときがあるのです」
 そうしたら、T医師、看護師のMさんは「わかりました。できる限り協力します」と言った。