夏帆の声

 感想。
 そういえばこれまで「夏帆が好き」なんて言ってて、ぼくはきちんと彼女の演技を観たことがなかったような気がする。CMとか写真とか、そういった短時間の媒体以外では。観たい、観たいと思いつつ、山下敦弘監督「天然コケッコー」も逃したっきりだった。
 そして、今夜、初めて彼女の演技を観て思ったのは、夏帆の声というのは、独特で、それは歌声というよりは、普段の台詞。ぼくは、蒼井優宮崎あおいが陰のある役をするときの、くぐもった「投げやり」な語調もすごく痺れるのだけど、夏帆はその「投げやり」加減からいうと、彼女らの比じゃない。「投げやり」というと、語弊があるかもしれない。言い換えれば、むしろ籠っておらず、「拓かれた」声と言ってもよくって、それを耳にした人に預けられている、というか、喜怒哀楽、彼女の抱いたどの感情も彼女のものとして発せられ、そして聞いた側に託されてしまう感じ。それが、とてもすがすがしく思えた。
 また、物語全体を通していえば、どうしても納得いかなかったのが、ラストに会場全体で歌われるMONGOL800「あなたに」を除けば、合唱部分のシーンをどの歌も途中で切ってしまう演出で、この作品に出てくるどの歌も素晴らしく響いてきて、それこそ映画の観客も立ち上がって大声で歌い出さないまでも、個々で口ずさむぐらいまでは誰もがしてしまうと思うのだけど、そうして気分良くなってきたのに、急にカットが切り替わって(歌声がなくなるか、極端に小さくなり)、物語上たいして重要でもないシーンになってしまっていたこと。
 その演出以外は、最近、矢口史靖監督「スウィングガールズ」、山下敦弘監督「リンダリンダリンダ」(ぼくは、この流れに李相日監督「フラガール」も加えてもいいと思うけど)と続くの「青春女子高生音楽映画」の王道をゆく、素晴らしい作品だと思った。

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