後に残る/残らない

 帰宅して、一昨日夜から読み始めた、東野圭吾幻夜』読了。
 昨冬、山田孝之綾瀬はるか主演でドラマ化もされた『白夜行』の続編という触れ込みの、これまた800ページにも及ぼうかとする分厚い文庫作品。確かに、続『白夜行』という視点で見れば、なかなか読みごたえのある作品だけれど、逆をいえば、『白夜行』を知らない人にとっては、なぜここまでの執念が主人公に揺らめいているのか、その動機付けが本作のみでは弱い気がする。
 ただし、一気に読ませることは確か。伏線が伏線を呼び、次の展開が気になって仕方なくなる。でも、読み終えて後に残るものがさほどない。後に残るものなく、先日まで『24』見続けてきた勢いで、ただただ物語を追い進めていくものを読みたかったので、期待に応えてくれたといえばその通りなのだけど、『白夜行』的な執念や怨念の行く末を期待していた部分もあったので、少し残念。でも、読書に「後に残るかどうか」なんてどうでもいいのかもしれない。刹那的読書だってあっていい。読んでるときが楽しければ、というような。
 黒川博行の解説を読むと、東野圭吾が次回作(『白夜行』第三部)の構想はすでにもうあるようなので、しばらくそれを楽しみにしようと思う。そういえば、次回作ではないけれど、彼の新作『ダイイング・アイ』が最近発売されたとか。そういえば、まったく関係ないけれど、この間深夜のテレビでNON STYLE石田明東野圭吾ファンだと言っていたのを、さっき思い出した。
 それにしてもこの『幻夜』でいちばん印象に残っていたのは、登場人物たちが喫茶店などに入り、最後に誰が「伝票に手を伸ばした」(代金を支払った)のかという描写が何度も出てくるという点。なぜだ。みんな「伝票に手を伸ばし」てる。

幻夜 (集英社文庫 (ひ15-7))

幻夜 (集英社文庫 (ひ15-7))


白夜行 (集英社文庫)

白夜行 (集英社文庫)


ダイイング・アイ

ダイイング・アイ