高槻セレクトシネマ

 健診後、病院の地下にある喫茶店「コスモス」でお茶して、仕事に行くCを見送り、その後、ぼくは、以前からずっと観たいと思っていた、映画、佐藤泰志原作/熊切和嘉監督「海炭市叙景」を観に、高槻セレクトシネマまで、車で。
 高槻、という場所には、幼い頃、母に付いて行って何度か買い物(西武百貨店やら松坂屋)に来たことがあるぐらいで(寝屋川から京阪に乗り、枚方市駅から京阪バスで行っていた)、京都方面などに行くとき、よく通り過ぎてはいるものの、きちんと歩いたのは、2〜30年ぶりぐらいかもしれなかった。
 おかげで全然地理感覚がなく、西武百貨店に駐車したものの、JRの駅を越えたぐらいから、もう方角もわからなくなって、仕方なく映画館に電話したら、もう、あと数十メートルのところまで歩いてきていた。小さな小さな映画館。1Fがパチンコ屋(?)で、その上に奥にカラオケ屋がある手前に高槻セレクトシネマはあった。
 上映開始時間(12:40〜)の10分前ぐらいに着いたら、今日は「メンバーズデイ」(毎月9日は1,000円)ということもあったからかわからないけれど、もう人はいっぱいだった。ミニシアターだけど、変に構えてなくて、スタッフの人の対応もていねいで、好感が持てたので、ぼくもメンバーになった。通常鑑賞料は1,800円のところ、入会金500円+年会費1,000円+メンバーズデイ鑑賞料1,000円=2,500円も払った。でも、招待券1枚ももらったし、よしとした。


 熊切和嘉作品というと、ぼくは『鬼畜大宴会 [VHS]』しか観たことがなかったので、あのおぞましき作品(詳細は忘れたけど、すごくぶっ飛んだ映画で良かった、というのは、覚えている)と、うわさに聞く「海炭市叙景」が、うまく結びつかず、でも、観始めたら、そんな誰がつくったの、誰の原作だの、というようなことは、どうでもよくなっていて、登場人物たちの「叙景」が淡々と綴られていく様子に観入ってしまった。
 でも、正直、あんなにも多いエピソードは要らなかったんじゃないか、と思った。そして、逆に、もっと多くのエピソードが欲しい、とも思った*1

 映画の後は、その数十年ぶりに、高槻の駅周辺を少し歩いた。覚えている頃とは違う新しい街になっていて、駅の北側には新しいマンションも建設中だった。その後、西武百貨店に戻り、平日の空いている百貨店を歩き、地下の関西スーパーで食料品を買い、すっかり暗くなった淀川を渡り、ボンヤリしていたら車線を間違えて、国道1号線を京都方面に向かいそうになっていたので、ひらパーのところで引き返したり、モタモタしながら、帰ってきた。
 駐車場に着いて、車を降りると、きれいな月が見えた。空もきれいだった。もっと暗ければ、映画「海炭市叙景」の、小林薫南果歩が出ていた、原作で言うところの「黒い森」で出てきた、むかし「森」と子どもが言っていた林の奥の夜空のように、星もきれいに見えるんだろうな、と思った。
 今日は、ぜいたくな、ひとりの一日だった。原作『海炭市叙景 (小学館文庫)』を読んでみよう。来月には、彼の『移動動物園 (小学館文庫)』も発刊されるらしい。
 

海炭市叙景 (小学館文庫)

海炭市叙景 (小学館文庫)


移動動物園 (小学館文庫)

移動動物園 (小学館文庫)


佐藤泰志作品集

佐藤泰志作品集

*1:あと、谷村美月と、加瀬(亮)くんの息子役の男の子の見分けがぼくにはつかなかった