2度
生前からなんとなく知っていたことではあるけれど、相続手続のため、母の戸籍(除籍)謄本を、母の出生からすべて取り寄せてみると事実として、母は「2度結婚し、2度離婚していた」ことがわかった。
1度目の結婚(昭和47(1972)年)は、どうやら中学からの同級生のIさんという人で、遺品を整理していたら見つかった結婚式のときの写真には、若かりし母の横に、黒縁メガネの「海外の人がイメージする日本人像」にぴったりな男の人が写っていた。確か、母の話ではIさんは、IBMに勤めていた人で、結婚するなり船橋(母は「トーキョー」と言っていたが)に転勤になり、「日本の会社では初めて給料が銀行振込だった」(母・談)らしい生活をほんの数ヶ月だけ送って、大阪に舞い戻ったらしい。戸籍上では、たった10ヶ月の婚姻期間しかなかった。
そして、2度目の結婚(昭和49(1974)年)は、Iさんとの離婚から1年も経たない後の、ぼくの父となる人で、これまた遺品を整理していたら見つかった結婚式(母は、ぼくが結婚式をする、と言ったときに「わたしは結婚式なんて大げさなことしなかった」と言っていたが、きちんと2回、大勢の人を招待して開いている)のときの写真では、これまた若かりし母の横に、猿顔の「まさしくぼくの父」だとわかる人が写っている。そして、父とも戸籍上では、たった2ヶ月の婚姻期間になっている。ぼくが生まれるひと月前の7月に籍を入れ、ぼくが生まれたひと月後の9月に離婚している。偽装結婚みたいなスピード破局だ。