違う角度からの「突き」
さらに、母休暇が明けて仕事に戻った最初の週末、つまり、先週の金曜(3日)の夜、ぼくはまた「何も考えなくて済む(だろう)映画」を観たくて、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」を観に行くために、仕事後、雨のなか原付(赤のリトルカブ)*1でMOVIX八尾に向かい、そうして映画館に着いたら、「ヱヴァ」は上映が始まったばかりで、次の回までに1時間半ぐらいあって、どうしようかと思っていたら、その5分後に上映開始するのが、西川美和監督「ディア・ドクター」だったので、(笑福亭)鶴瓶さんが出ている、ということと、西川美和監督「ゆれる」は、とても山間(やまあい)の映像が奥深く緑深く良かった、ということぐらいしかなく、話の内容も何も知らなかったけど、吸い寄せられるように劇場に入った。
そのときの「ディア・ドクター」の観客は、年配の夫婦が数組。なにか不思議な空間だった。作品の第一印象は、やっぱり、西川美和監督、というか、この人に付いてるカメラの人は、とても山間(やまあい)の映像が奥深く緑深くて、田んぼの稲もとても雄大で(それが、イナカの面倒くさい人間関係やら習慣やらも含んではいるのだけれど)、すばらしい、と思った。
中盤から話の中心になってくるのが、年老いたひとり暮らしの母親(八千草薫)の不治の病、であり、それは、わりとぼくにとってタイムリーすぎたけれど、ただ、主眼はその不治の病の母、ではなかったので、それほどずっしりとくるようなものではなく、でも、彼女の「都会に出た娘(子ども)に心配をかけたくない」という<母><親>の思いは、それまで、ほとんどぼく(子ども、あるいは残された者)からの視点であった母の喪失というかなしみみたいなものとは違う角度からの「突き」を与えられたようで、ぐっときたりもした。
4月3日(まだ3ヶ月も経っていない)、母とぼくは、ずっとかかっていたM病院の主治医T先生から「もう積極的な治療はできない」「余命はあと3ヶ月〜6ヶ月だ」と言われ、4月16日、ほんとうにもう治療はできないのか? 何かできることがあるのではないか? と、2度目のセカンドオピニオンを受けるために高槻市にある病院にふたりで行ったとき、担当してくれた医師が「残念ながら、私も主治医の先生の判断と同じです」と言われたとき、ぼくの隣に座っていた母は、その、2年前の4月、映画「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」を観た翌日に、T先生から卵巣がんだという告知を受けたとき以上に、いや、プライベートな空間以外では、そのときが初めてだといっていいぐらいに取り乱し、「わたしが苦しむのは仕方がない、でも、わたしが苦しむのをどうしてもこの子に見せたくないんです」と言って涙を流していたのを思い出した。
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*1:http://d.hatena.ne.jp/subekaraku/20080903/p4