合田ノブヨ
年末、いろいろなことにさえぎられながら、とにかく本のページを開いた本に、よしもとばなな『彼女について』がある。
そして、ほんとうなら、詳しくそれについての感想を述べる、述べたいべき(「述べたいべき」という日本語が成り立つがどうかは別として)なんだろうし、そうしうようと思っているのだけど、『彼女について』にしたって、ぼくは、よしもとばななの純粋なストーリーテラーの才能を味わいたいということで読み始めた(本を購入した)わけではなく、むしろ、装画の合田ノブヨ(『体は全部知っている (文春文庫)』→まだ“吉本ばなな”時代に惹かれて。味の素のCMに似ている)に期待して読み始めたわけなのだけど、それは、でも、たぶん、すごく、反感はあることと思われることだろうけど、「拙い」(「拙い」っていうのは、小説においてなんなんだろうね、老獪なら、OKではないことは確かであるけれど)にせよ、ぼくは、彼女の小説の「やり方」(鶴見俊輔の「仕方」ではなく)において、小説として「あると思います」(by 『天津 木村のエロ詩吟、吟じます。』)」。いや、むしろ、受け入れられるという点においては、中上健次のそれよりも、よほど、よしもとばなな(吉本ばなな)の方が、今において「あると思います」であって、「あると思います」がYes/Noは別しても、通俗的にみんな方に(そして、通俗的に、単に金を稼ぐためだけに働きもし、よく分からないけれど結婚もした身分としては)向いているのではないかと思えた。
でもそれは、いい/悪い、OK/NOでの話しでもなくて、「ユリイカ 2008年10月号 特集=中上健次_21世紀の小説のために」は意義があったと思う。たぶん、今の若い人は、よしもとばなな(吉本ばなな)も知らなければ、もちろん、NAKAGAMIの匂いすら知らないだろうし、それを青土社が取り上げようが。取り上げまいがかまわないし、でも、ぼくは、あえて、匂いがキツイ気がしてその「ユリイカ」を買うのを(結婚式前後でもあったし)遠慮したわけだけれども、それは、たぶん、NAKAGAMIに結婚という制度は合わないからで(彼自身が結婚し、そして、死後、子どもが作家としてデビューしようとは思っていたかどうかはしらないけれど)、それは、ぼくなりのこだわりでしかなく、どうでもよいことではあるけれど、ともかく、その「ユリイカ」を立ち読みした範囲では、東浩紀×前田塁という、いや、ぼくにとってはどっちでもよくて、ほとんどしらない人の批評しか受けられないNAKAGAMIが、むしろ不憫であったし、小説(ショーセツ)というものは、やっぱり死んでしまったのかな、とも思えたし、前田塁=市川真人というのが、別に誰が誰でもどうでもよくて、川上美映子さんのワークショップに参加したときに(とってもたのしかった。京都まで行くのは大変だった)、前田塁=市川真人が補佐人(わたしが「川上美映子」という才能を見つけたんです、どうだ!)という感じでいたときも、あー、そうなんだと思っただけで、そんなのずいぶん昔から言われていることかもしれないけど、ぼくと同様、ただ単に「書く」人は増えただけで、きちんと批評するひとがいなくなってしまったのが、この0(ゼロ)年代であるのかもしれなくて、そういう意味では、おそらく批評しやすいのは、全然悪くないと思うけど、小説では重松清だったり、天童荒太だったり、その他ミステリー系の人たちであったり。
いや、実は「物語」が軽くなってきて(悪いことではない。もちろん、ケータイ小説だって、アリだ)、ただ、それに批評が着いていけない、いってないといいのが、ここ何年かの出来事なんだ、と、思った。遅いかもしれない。

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