祖母の外出について

 そんなお葬式みたいなことをしばらくやってたら、前日電話でケツコン式当日の祖母の外出について相談する約束をしていたグループホームの責任者のYさんが来て、「とりあえず、先、話しましょか」というので、「はい、わかりました。お忙しいところ、申し訳ありません」と言って、祖母もいっしょに混じって(もちろん、祖母はなんのことだかわからないので話には混じれないのだけど)、相談させてもらった。
 Yさんが言うには「▲▲さん(祖母)を外出させてもらうのには、別に問題ありません。当日がどうなっているかわからんけども、今のところ体調も良いです。ただ、その外出の方法のことですが、ほんまはうちの職員が付き添って行ってやれたらいいんやけど、それは正直無理です。『介護タクシー』を使うのがいちばんいい方法だと思います。でも、その『介護タクシー』もグループホームに入所中の▲▲さんは、もうほかに介護保険サービスを適用することができないので、すべて全額自己負担になります。『介護タクシー』の利用料、どこで結婚式を挙げられるのかは知りませんが、高速を使われるなら、もちろん高速代、それに運転手のほかに、ヘルパーを付けるなら、ヘルパーさんの利用料も全額自己負担。さらに、これだけは言っておきたいんやけども、普段とは違うことを▲▲さんにされて、疲れて帰って来られて、もし仮に体調が悪くなっても、こちらの方としては責任が取れないことなので、必ず身元引受人である××さん(祖母を巡って母と断絶&険悪状態にある母の姉。最初、ぼくのケツコン式に出席してくれると電話では言っておいて、結局、なんの連絡もないままいきなり『欠席』の招待状返信ハガキを送ってきた、ぼくの伯母さん。後からぼくが「なんでいきなり『欠席』の返事なん?」と電話したら、母への腹立ちが原因とのこと)に、必ず了解を得ておいてください。こちらの方で言えるのは、それだけです」とのことだった。
 それからも、ぼくはいろいろ訊いたけど、やっぱり、日頃、外出といえば、グループホーム周辺を車椅子で散歩するか、年に数回車で片道30分ぐらいの距離にある遊園地「ひらパー(ひらかたパーク)」へ遠足(薔薇園や菊人形展を見に行ったりするらしい)や、車で片道1時間ぐらいの距離にある京橋の伯母の家に外泊しに行くかの祖母が、寝屋川から、ぼくらのケツコン式の会場である六甲山ホテルまで、おそらく車で片道2時間ぐらいの距離(山道もある)を耐えられるか、運転手さんに加え、ヘルパーさんに付き添ってもらったとしても、知らない人と2時間、耐えさせられるかを考えると、すごく来てもらいたいのはやまやまだけど、ちょっと無理だというような気がしてきた。それに、伯母さんが、ぼくらの申し出を了解してくれるはずもないし。
 結局、もう少し時間もあるし、その件はちょっと保留にしておいてもらい、介護タクシーの事業所を紹介してもらい、Yさんとの話は済んだ。Yさんとぼくが話してる間、祖母はずっと「?」というような顔をしていたのだけど、Yさんが席を外すと「あんた、知り合いか、あの人と?」と訊かれたので、「ううん、今日初めて会ったんやで」と言ったら、「長いこと何喋っとったんや」とまた訊かれたので、ぼくは笑ってごまかした。

 その後、祖母の部屋に行って、また少し話して、ちょうどおやつの時間になったから、15時すぎ、グループホームHを後にした。祖母が玄関まで送ってくれたけど、ぼくは名残惜しくて仕方がなかったので、わざと足早に帰った。
 そして、グループホームHのほんとに近くにある、祖母方の先祖代々、祖父方の先祖代々のお墓がある墓地(若いころ離婚した祖母と祖父方、両方のお墓がその墓地にあるのも偶然のことだった)まで行って、ぼくのご先祖様たちに、ぼくのケツコンの報告と、一刻も早い母の病気の回復を祈った。Cも同じく祈ってた。