入院・治療に際して‐1
19時10分前、M病院着。
ぼくにとっては、久しぶりのM病院の空気だった。
時間外出入口から入って、すぐのところのベンチに母はもうすでに座って、ケータイをいじってた。
そして、19時すぎから、4階西病棟の面会室にて、主治医のT医師、看護師のMさん、そして、母、ぼくの4人で、現在の母の病状、そして治療方針などについての話し合い。
どこから切り出そうかと思っていると、4人が揃った時点で、母がいきなり、そして思いを堰き止められないというような口調で言い出したのは、
「わたしが、何ヶ月も前から『お腹が痛い、痛い』と言っていたのに先生は、腫瘍マーカーなんかの値ばっかり見て気にしてもくれず、少しも検査してくれませんでしたよね。もし、その2、3ヶ月前に検査して、再発がわかっていたら、どうなってましたか? まだもっと治る可能性は高かったんじゃないんですか。それから、腫瘍マーカーの値って、ほんとに信じていいもんなんですか? 値が大丈夫だったのに、今回、MRIをしてみたら再発がわかったんですよね、じゃあ、何を信じればいいんですか?」と、ともかくそのような内容だった。
そして、それに対するT医師の回答は
「腫瘍マーカーの値だけじゃなく、いろいろと他の検査の値も総合して、再発の疑いはない、と考えてきたつもりだし、MRIもPETも月に一度やるような検査でもないし、たとえ検査したとしても結果はそう変わらないものですし、費用もかかります。今回、わかったのは、MRIの結果、放射線医師に言われて、ぼくも初めて再発を疑いました。
それから、腫瘍マーカーの正常値は、平均的に言って『35以下』だとされています。●●さんの場合は、ずっと10代前半の値でしたから、さほど気にしていなかったわけですが、それが、今月の検査では20以上になっていました。ですから、今回、MRIをやってみようということにしたわけです。そして、今、『腫瘍マーカーの正常値は、平均的に言って35以下』と言いましたが、それは、平均的であって、その人によってもちろん違うわけです。でも、医者の立場からすると、その平均値を指標とするしかないわけです。でも、今回のことによって、●●さんの正常値は10代だということがわかったので、これからは、きちんと、それで対応させてもらいます」
というものだった。