原初的な表現
映画は、とてつもない人々との共同作業だから、「頭で考えていない」わけではないのだろう、なにかきちんとしたコンセプトなり企画なりが、この作品にも存在するのだろう、とは思うけれど、ぼくは、最近どんどんと「頭でっかち」になっていた宮崎駿作品が、物語の原初、アニメイションの原初、創造の原初に戻ってきた感想をもった。
そして、ぼくは、映画に限らず、何よりそういう原初的な表現が大好きだし、評価したい。 自分がなぜそんなに感動したのか「わけがわからない」。そういう作品こそ素晴らしいと思う。
宮崎作品の「頭でっかち」の最高峰は、「もののけ姫」のようにぼくは思っていて、それがぼくの劇場で観た宮崎作品のこれまでで最後で(それは長野市の映画館で観た。上野から長野に向かう特急「あさま」のトイレで血尿が出、救急車で病院に運ばれ、生まれて初めての尿路結石の疝痛を味わった直後)、それ以降の作品はDVDでしか観ていない。
いや、「もののけ姫」だって「千と千尋」だっておもしろかったのはおもしろかった(「ハウルの動く城」は、ぼくにとっては論外)。でも、観るのに「解釈」が、あるいは自分のなかでの「翻訳作業」が必要だった。
ぼくが宮崎作品のなかでいちばん好きなのは「未来少年コナン」だけど、それはテレビアニメだから別として、映画としてもっとも好きで、もっともワクワクした「天空の城ラピュタ」を、それら以降の作品は、まったくもって超えることはなかった(そういえば、「ポニョ」のオープニングのスタッフロールなどのアニメというのか絵は、神話の挿画っぽい「ラピュタ」のそれに似てた)のだけど、原初的という意味に限っていえば、「ポニョ」は「ラピュタ」を存分に超えてたとぼくは思う。
体験として、体感として身体に残る映画、それが「崖の上のポニョ」だ。
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