大澤真幸のしごと
ふたつめ。
ここのところ、『資本主義のパラドックス―楕円幻想』(ちくま学芸文庫)、『逆接の民主主義 ――格闘する思想』(角川oneテーマ21)や、『不可能性の時代』(岩波新書)など、新書が連発刊行されていた大澤真幸だけれど、「群像」に連載されていたころから気になっていた『<自由>の条件』(講談社)が単行本化されたらしい。
講談社の紹介ページは以下のとおり。
他者がいなければ<自由>なのか?他者がいればこそ<自由>ではないのか?毎日出版文化賞受賞『ナショナリズムの由来』に続く大澤社会学の集大成!堂々の1000枚
時間論、資本主義、死の欲動……自由の本質的困難を巡る考察から、初めて導かれる。<自由>の<公共性>とは?約10年の時を経て成る、著者待望の“ライフワーク”
われわれは――少なくとも過去と比べたときには――寛容な社会を生きている。ところが、にもかかわらず、われわれは解放されているようには感じていない。寛容な社会に向かっているはずなのに、われわれの閉塞感は小さくはならない。それどころか、逆に、閉塞の感覚は強まってさえいる。ということは、自由を可能なものにする条件についてのわれわれの思考のどこかに盲点があるのだ。(中略)本書の目的は、自由を可能ならしめている条件は何かをめぐる探究にある。探究は、自由をめぐる、2つの知(社会哲学的・社会理論的な考察、形而上学的・存在論的な考察)の伝統を接触させ、化学反応を起こすことを通じて果たされるだろう。――<「まえがき」より。一部改変>
ぼくは、やはり、彼の仕事は気になる。『ナショナリズムの由来』は、その見た目に圧倒されて、なかなかページを開けないままでいるけど、なぜ気になるかといえば、ぼくが加藤典洋『敗戦後論』で卒論を書いていた際、参考文献として読んだ『敗戦後論』について言及されていたものといえば、ほぼ総スカン(それもかなり感情的なかたちで)の状況で、ただ唯一、大澤真幸が『MD現代文・小論文』という学習参考書のような本の冒頭で、講演録みたいなかたちで、冷静に『敗戦後論』を論じていたのを読んだからだ。
そして、この本の宣伝文の「他者がいなければ<自由>なのか?他者がいればこそ<自由>ではないのか?」は、わりとぼくにとってガツンとくる。単純だけど。
またぼくが書いた『給水塔』になるけれど、昨日の合評の場では、ある人から「ここに出てくる登場人物たちは、みんなひとりが好きやな。孤独癖があるな」とも言われた。他者の存在のあれこれは、やっぱりぼくにとって、「作家のヴォイス*1」的なことだと思う。

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*1:http://d.hatena.ne.jp/subekaraku/20080428/p3