「なんでトーキョー?問題」
その後、またぼくは、わりと最近誰にでも質問するんだけど、それは「なんでトーキョー?問題」。
「川上さんは大阪生まれだし、作品も大阪弁で書かれている。でも、ぼくは、ぼくがトーキョーにいた当時に感じた、広い社会からみれば、まったくといっていいほど話題にもされない〈小説〉というものが、トーキョーにいると、さもそれがいちばん大切なことだと錯覚させられるかのような場があり、人がいる。それは〈小説〉だけではなくて、映画でも音楽でも芝居でも、まるでネットの世界にいるかのように、話が通じ合ったり、通じなくてもとりあえず同じ土俵で話せる人がいたりする。
ぼくは、それがとても居心地が良かったのだけれど、実はそれはものすごい狭いところで他の人にはまったく通じない言語で話していることと同じで、気持ち悪いと思ったし、健全じゃないような気がして、だからトーキョーを出た。でも、トーキョーを出ると、大阪という都会でさえ、ほとんどそういう話をできる場がない。それは、ぼくにとってすごくさみしかったりするのだけど、ある意味、健全だとも思う。
川上さんは、どうしてトーキョーにいるんですか?」
というようなことを訊いた。
それに対し、川上さんからすぐ返ってきたのは「もっとすごいところがあって、それは“文壇”というところなのだけど、そこでは、ものすごい狭いのに、ものすごい話がいつもずっと交わされているんですよ」ということで、結局のところ、川上さん自身の「トーキョーにいる理由」は、原理主義はこわい、とか、自分が知らない世界が存在すると意識し続けることが大切、というような話で終わってしまって、たぶん聞けなかったと思う。ちょっと残念だったりはした。
そして、ワークショップ終了。
昨日、『乳と卵』にサインをもらったくせに、なんか「書いて書いて書き尽くしてやろうと思いながら」書かれたらしい『わたくし率イン歯ー、または世界』の方が読みたくなってきて、それにもサインしてもらって、なおかつ握手までしてもらった。
とっても楽しい、刺激的な2日間だった。川上さん、市川真人さん、shin-biのみなさん、そして参加者のみなさん、ありがとうございました。
