天才とは何か?

 そのワークショップの2時間は、まさにあっという間で、ぼくにとって刺激的な2時間だった。
 そして、1日目でぼくが強く印象に残ったのは、実際、ぼくもその「個性とは何か?」とか「天才とは何か?」みたいな話のときに、発言もさせてもらったのだけど、最初の話に戻すと、ぼくがこのワークショップに参加したのは、単に「川上さんに会ってみたかったから」という理由で、ああいう文体をもち、そして、芥川賞を獲った川上未映子という人は、いったいどんな声でどんな表情でどんなしぐさをしながら話したり動いたり立っていたりするのだろう? という単純なもので、ただ、ぼくは、あの文体やあの物語(といっても、ぼくは、彼女の本は『そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります』を読んだだけで、あとは彼女のブログ「川上未映子の純粋悲性批判」をときどき覗くぐらいなのだけど)は、綿密なテーマや構成(つまり【A】みたいなもの)があって、そのうえで書かれたのではなく、語弊を承知でいえば、「思いつき」や「勢い」や「なんとなく」書いているのだと思っていたけれど(んで、実際、ぼくはそういう「突発的に」「衝動的に」生まれた表現がとても好きだ)、今日の彼女の話を聞く限りでは、彼女はものすごく勉強家で、たくさん本も読んでいるようだし、さらに、それは彼女自身も言っていたけど、彼女は書く前にものすごくテーマや構成を練ってから書くタイプらしく、そういう意味で、ぼくは「川上さんは(才能はあるけれど/秀才ではあるけれど)天才じゃない」(!)と、今から思えば本人を前にかなり失礼な発言をしてしまったわけだけど、ぼくは彼女の書いたもの(つまり【A’】)を読んで思っていたこと(【X】)は、それは作品の内容というよりは、作品を書くことに対する「姿勢」みたいなものにしても、彼女の【A】とは、やっぱり乖離していて、いや、だからこそすごくおもしろいし、テーマや構成を練り込んで、あの文体を保てるというのはすごいと思った。

そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります

そら頭はでかいです、世界がすこんと入ります