さよなら、あたし
昨夜(ゆうべ)、はやく床に就いて、若松孝二監督「実録・連合赤軍 あさま山荘への道程」観て(4/6)以来、もう実は、2週間以上、借りては返し、返しては借り、を(全然見ることができなくて)繰り返している高橋件明監督「光の雨」(ビデオ2本組)を少しだけ見て、裕木奈江が永田洋子的役で出ていたことなんて全然忘れていたんだけど(その代わり、山本太郎が森恒夫的役を演じていたことはよく覚えていた)、それから「TVタックル」を見ながらすぐ退屈になって、益田ミリ『結婚しなくていいですか。―すーちゃんの明日』を読み始め、すぐに読み終えた。
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各所で絶賛されているらしい、『結婚しなくていいですか。』。35歳独身。趣味、料理。資格、調理師免許、そろばん4級。貯金、200万円。嫌いなことば、自分探し。仲良しの友達はいる、でも親友はいらない。日記、続かない。…以上が、この作品の主人公、すーちゃんのプロフィール。
ぼくはてっきり、このすーちゃんという主人公のみが主たる登場人物で、物語は進むのかと思っていたら、すーちゃんのむかしのバイト先の先輩、さわ子さん、という40歳(勤続17年)の独身女性(実家に母と寝たきりで認知症の祖母と3人で暮らしている)の日常も同じぐらい描かれていて、もうひとり、すーちゃんの友達、まい子さん、35歳(一年前、お見合いで結婚した妊婦)も何話かには登場する。そして、ぼくは、すーちゃんよりも、このさわ子さんとまい子さんの方が、好きになってしまったりした。
その「好き」というのは、たぶん「切実さ」の(度合いの)問題だと思う。
女性で、35歳で、独身なすーちゃんは、いつも「老後」のことばかり心配している。それはそれで、もちろん彼女にとって切実なんだろうとは思えるけれど、彼女の現状は、カフェでの仕事もそれなりにうまくいってるし、住むところにも苦労していない(ひとり暮らし)、なんてったって貯金が200万もある(「200万も」というのは、男で、33才で、独身のぼくを基準にしているわけだが、みんなそれくらいはあるんだろうか?)。要は、現状にそれほど心配する、「切実に」心を傾けなければいけない、仕事や病気やお金や家族などの課題がない(と読めるふうに描かれている)から、「老後」を心配する余裕があるのだともいえる。
けれども、他のふたりは違う。
さわ子さんは、自分の肉体に、13年間セックスしていないことに(このカラダをもっと謳歌しておきたい、と)、母と祖母のことに、「お局」化してきた職場での自分の存在に、ランチにいっしょに行く人のことに、切実に悩んでいる。そして、まい子さんは、産まれてくる子どものこと、そしておだやかな日々を考えるとしあわせだけれど、母になる「あたし」に切実に悩んでいる。
ぼくは、まい子さんの次のような台詞にグッときた。
これでいい
これも、また、よかった
と、思う反面
結局、こうきたか
と思うあたしもいる
がんばって働いて
仕事も任されるようになって
今は無職の妊婦さん
大学も、会社も、結婚も
選んできたのは、あたし
これから先も
あたしは何かを(選べるのかな?)
なぜだろう、
もう、なんにも選べないような気がするのは
さよなら
さよなら、あたし
もうすぐ別のあたしになる
ママになって、あたしはきっと、変わるんだと思う

- 作者: 益田ミリ
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