二十年前の風景

 帰宅して、昨夜(ゆうべ)コンビニで買ってきた焼うどんを夕食にして、その後、しばらく、ぼんやりと岡崎京子東方見聞録―市中恋愛観察学講座』を読んだ。
 1987年の『ヤングサンデー』創刊号から14号まで連載された、これまで単行本未収録だった作品。ハワイに住む海外育ちの少女(佐藤黄緑[キミドリ])が、東京に住む少年(山田吉太郎←縦書きすると「エロ太郎」になる)と、東京の「いろんな場所」に行って記念写真を撮り歩く。その「いろんな場所」とは、銀座、国会議事堂、中野ブロードウェイ、国立、原宿、江の島、井の頭公園、青山墓地神田神保町、そして、ハワイ。どれも20年前の風景。
 解説の藤本由香里は「…描かれているのは二十年前の風景でありながら、このあたりの場所のたたずまいが今でもほとんど変わっていないことに私たちは気づく。(中略)だが、その後、確実にたぶん、東京の雰囲気は変わった。そうした風景は昔と同じなのだが、なんといったらいいのだろう---この頃にはあった余裕がなくなった」と書いている。
 そして、またその「余裕」がなくなるに連れ、「『街と地続きのマンガ家』岡崎京子の作品は、それに伴って、この後、どんどん切迫感を増していく」と藤本由香里は書く。『リバーズ・エッジ』然り、『ヘルタースケルター』然り。

リバーズ・エッジ (Wonderland comics)

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ヘルタースケルター (Feelコミックス)

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