「ざべ」というあだ名

 それから、とても楽しみにしていた渡辺ペコの新刊『ラウンダバウト 1』も読んだ。
 感想。かなりイイ。
 漫画家・なめた次郎(作中漫画『マカロニ』作者)へ妄想が引き起こした節約のために、髪型が「まことちゃん」(by 楳図かずお)カットになってしまった中学生女子・真(まこと)の半径200mぐらいの日常断片。
 題材として良かったのは「創作ダンス」。
 真は「あたしはねえ心の底から/全国の大人の女性に問いたいよ/中学時代の『創作ダンス』の経験は/あなたの人生において何らかの役に立ちましたか?/と−−」と問いかけるのだけど(後日、それが引きこもり女子の息抜きになったりして役立つ)、ぼくは、はっきり言って、鉄棒やら、器械体操やら、剣道やらやらされている体育館での体育の授業中、隣で「創作ダンス」やってる女子が羨ましくてならなかった。幼いころから「ひとり遊び」に長けているひとりっ子、ましてや女系家庭で育ったぼくとしては、日々「ひとり踊り」も鍛練しているわけで、そんなことが評価される空間に身を置いてみたかった。ちなみに、「ひとり踊り」は、33才になった現在、自宅でときどきやってます。身体性の実存的解放!
 そして、この「創作ダンス」が題材となる第2話「涙目」は、真のクラスメイト・英子ちゃんの視線で女子どうしの微妙な距離感なども描かれており、秀逸。この話を読んでると、ぼくは「女性的」なのではなく「中学生女子的」思考の持ち主なんだと、今更自覚した。
 33才のオッサンにして、気持ち悪いけど。
 それにしても、同級生に出てくる「ざべ」というあだ名の男子の本名は、いったいなんなのだろう? その謎が明らかにされることを望みつつ、次巻以降大期待。渡辺ペコは、間取り漫画『東京膜』で目を付けた通り、やっぱり偉大。
 新上ヒロシの装丁もヨイ。最初は「絶賛第二次性徴中!」という帯に隠れて見えなかったけど、表紙は「ラウンダバウト(Roundabaut)」の「R」を真が身体でかたどっていて、それだけならまだしも、その「R」の影が手前に伸びてる。その影の色が淡くていい。

ラウンダバウト 1 (クイーンズコミックス)

ラウンダバウト 1 (クイーンズコミックス)