ときが止まった場所―2

 ひと通り家の中を見て、狭い縁側でたばこを吸っていたぼくに、Cが「この家、まだまだ住めるやん。壊して誰かに売ってしまうなんて、めっちゃもったいないなぁ」と言った。ぼくもその通りだと思った。ぼくにお金さえあれば、ぼくがこの家を買いたい。壊さずにこのままで。
 でも、ぼくは、18才のとき、この家を「諸悪の根源」ぐらいに思っていて「二度と帰ることはない」とも思っていて、それが15年後の今、「どうかこのままにしておいて欲しい」「ぼくがこの家に住みたい」とか言っても、許されることじゃないのかもしれない。いや、どうなんだろう? いや、ただ、もう少しはやく、いわさきちひろのカレンダーがまだ同時刻を生かされている時期かその前に、ぼくが祖母のことにも母のことにも介入して、伯母を含めて、なんらかの対応に積極的になっていれば、今、こんなことにならなかったことは確かだと思う。けれど、当時のぼくはまだトーキョーにいたり、ハリマにいたり、無職だったりでそんなことを考える余裕はなかった。

 これは、実家のポスト↓。18才以前2年間ぐらいのぼくは、このポストだけが外部との接触点だった。